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N. G. Place

『cui cui』刊行記念トークショー

『cui cui』/川内倫子
『the eyes, the ears,』『cui cui』刊行記念トークショーに行く。
『cui cui』に登場した彼女の家族のインタビューや、
先日カルティエ財団美術館でひらかれた個展の模様をスライドにして上映。
その後、質疑応答。

川内さんの作品と名前が一致したのは、
『誰もしらない』のスチールからだから結構最近だ。
『世界の中心〜』の表紙写真も川内さんだとか。





私が彼女に興味を持ったのは、そういう作品よりも、
彼女の日記の写真からだ。
その視線の置き方がいちいちツボで、
私はすごく好きだと思った。
好きな写真家はたくさんいるのだけど、
こういう感じはあまりいない。

実際に彼女を拝見するのは初めて。
第一印象は、「あ、関西弁」。
関西出身なので当たり前なのだけど、少しびっくりした。
そして、なんというか自立心があって飾り気のない、
武士のような人だと思った。
これは、私にとって最上級の褒め言葉。

『cui cui』は彼女が13年撮りためた家族の写真の集大成である。
かなり私的なもので、他の写真集とは一線を画している。
彼女の祖父の死と、甥っ子の誕生。
身近な家族の生と死の場面が期せずして重なったことで、
この写真集を編むきっかけのようなものになったと言っていた。

スライドでも出てくるおばあちゃんがかわいくてかわいくて。
自分の祖母とリンクしてスライド見ながら泣いてしまった。
「何?(ビデオ)撮ってるの?かわいくとってな」「おおきに、ありがとう」

自分と年齢が近いせいか、思う事も似てるのではないかと思う。
全てのものは儚くうつろいやすく終わりがある、ということ。
正直最初は、ここまで飾らずに出してしまっていいのかな、と思った。
でもそこに溢れる愛情を見て、きれいに整ったゴミ一つない家よりも
全然リアルで暖かい空間がそこにあることに気付いた。
そして、それは私の育った環境の中にもあることも。

あとがきにこう記されている。

「周りの大人に愛されて、守られて育った記憶は消えない」

私も30を越えた今、守られる立場から守る立場に、
愛される立場から愛する立場にまわらなければいけないことを
ひしひしと感じている。

トークショーのあとで、写真集にサインをしてもらった。
あのおばあちゃんがとてもかわいくて、と話しかけた。
彼女の顔はぱっとほころんで、
「そうでしょ?私もいろんな人に見せちゃうの、かわいいでしょって」
と笑った。とてもいい笑顔だった。

♪「リトルブレイバー」/boc



by pea19 | 2005-04-09 00:24 | 趣味

N. G.なもの・人・場所を記録しておいて、近寄らないようにしたい。
by pea19

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